美しい字を見ると、思わずハッとするのはなぜでしょう。
博物館や記念館に行き、著名人の筆跡を見て驚きを感じるのは、その人の勢いや、リズム、流れるエネルギーや息吹、そして時代の叡智からくるその人の魂そのものに出会うからではないでしょうか。
それに比して、現代の私たち。
筆から万年筆へ、万年筆からペンへ、鉛筆へ、シャープペンシルへ、そしてデジタル機器へ、とだんだん、手の微細運動を使わなくても伝達できる方法を開発し、使用してきました。そして、本当に書きたいこと、伝えたいことではなく、書かされること、やらされることで文字を使うことのなんと多いことでしょう。そんな中で、たまに字を書こうとすると・・・うまくかけない・・・と思うことがあります。
社会状況の急激な変化により、子どもたちの字も大きく変わってきたように見えます。
ある特定の気質の子どもや、ある特定の環境で育った一定数の子は、きれいな文字を書きます。けれども、他の多くの子は、どこかぎこちない字を書きます。
なかでも、微細運動の苦手な子は、手に軍手を2枚はめているくらい、動きにくい、とはよく言われますが、ノートに設けられた枠からはみ出ることも多々あります。
また、書くことは、心の動きも反映しています。やることが多い中で、焦って書いた字が見るも無残でになることは、お分かりのことと思います。
おとなうもの・書き方教室では、その子の字を調整するための体の動きを、書写の前に行います。「字は体を表す」と言いますが、体の動きを少し調整することで、これまでノートの枠にはまらなかったのが、枠におさまる字を書くことできるようになることもあります。
また教室では、心身を統一するために、詩を朗誦することもあります。美しいもの、尊敬できるものに出会うこと、それこそが、自分も美しくありたい、と思う心を養います。
千年以上続いてきた日本の文字文化が、コンピューターを前に根絶やしにされるのではないか、という危惧と同時に、だからこそ、美しい文字を書けることの希少価値を考えていただきたいと思います。
面談に来られる際には、メールもしくは電話連絡ののち、お子様の文字が見られるものをご持参ください。
★日程準備中
週1回 月4~5回 月謝5000円