ことばの芸術

人間の使う「ことば」

    ◇◇◇    

その「ことば」に秘められた響きを味わい尽くすこと

これが「*言語造形」という「ことばの芸術」です

◇◇◇

私たちが相手に言葉を発するとき、実は、私たちは、相手を言葉という空気で包んでいる、

とは考えられないでしょうか。

同じ内容の言葉でも、ある人の言葉を聞いてほっとしたり、ある人からは強さ、重さ、

気怠さ、軽さを感じるのは、空間に放たれる言葉の持つ法則の威力だと言えます。

「ことばに潜む法則」を紐解いていく要素は、呼吸であり、音であり、音韻であり、リズムで

あり、強弱であり、軽重であり、色であり、形であり、エネルギーであり、心であります。

そして、もっとも肝心な要素が、呼吸であります。

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言語造形に取り組む、ということは、自分をさらけ出してすべてを吐き切り、

そこへ入ってきた神々の息吹を迎え入れるという深い呼吸が前提になっています。

そのうえで、時には一文字、時には一文を解き放っては聴き取る、という作業をします。

しかし、これは決して反復作業ではなく、毎回が生み出す行為なのです。

そして、この生み出す行為に命を懸けるのが、芸術的言語創造行為です。

そうして、もっとはっきり言うなれば、

「言葉は道具であり、人間は機械であり、人間には自由意志は存在しない」

と思われるような現代の社会において、もはや、そのような時代は過ちであり、

これからは与えられてきた恩寵を意識的に発見し、守り、天上に返していくのが人間の置かれた

立場である、と自覚することが、言語造形をする人であり、またその立ち位置を探求する

芸術の一つが、言語造形であると言えます。

     ◇◇◇

とはいえ、今は、生活のスピードが速いので、それに合わせた話し方をしたい

と思われる方も多いことでしょう。

「どうすれば、人に伝えられる言葉が使えるだろう」

「もっとはっきり話せればよいのに」

という具体的な言葉の扱い方に悩む方も多いことと思います。

さらにお知りになりたい方は、こちらもご覧ください。

 

 

 

□□□ プロフィールをかねて □□□   

安定している英語教師の職を辞してまでやりたかったこと、それは、「日本語を味わうこと」でした。

日本語に秘められた力、母声と父声が分離し、かつ結合して子声が生まれているという、この日本語の希少価値を、多くの人に味わってもらいたい、という願いがあります。宇宙を表す子音と、感情表現としての母音が組み合わさってできた日本語という「ことば」の不思議さ。考えれば考えるほど、素晴らしい叡知を含んでいます。

現代社会を生きるにあたって、当面必要とされる情報伝達としての日本語能力について申し上げますと、英語の成績の伸びない子の特長は、日本語運用能力にあります。運用能力には、単に話す、だけではなく、もちろん書くことも含まれます。母国語を習得する際には、よく聞き、そののち、よく発話の機会を持つ期間が必要であり、その期間に推測、類推する力、想像する力を培っています。

 

母国語を習得する0~7歳の期間に、成長に不必要な情報(詰め込み、暗記、怒りや苦しさ・憎しみ・劣等感などの不要な感情、選択権)が与えられることにより、話を聴く態度が身につけられないでいると、運用能力が思うほどに伸びていきません。

英語から日本語訳をするにも、いろいろな段階がありますが、直訳日本語、文法日本語、書き言葉話し言葉としての日本語の違いを予測できないと、つまり、多くの段階の日本語に親しんでいないことは、中学生以降の訳出のための日本語につまづきがちとなります。伸びきっていない日本語能力のために、外国語習得が阻害されているように思います。

 

そういう意味で、母語の育ちうる環境の大切さを思います。

 

心穏やかな大人が側にいることが、子どもへ自由に「ことば」を発する機会を設けることになります。

安定した心へ「ことば」が入ること、これが一番、「ことば」の習得の近道です。

生まれつきのバイリンガルでない限り、母国語の上に、外国語が習得されていきます。

 

そして、さらに、日本語という点で言えば、芸術的に日本語を扱うという能力は、一般的な点数には表れない能力です。けれども、この、日本語と言う言葉に秘められた力を体得していると、常に日本人の底力を胸に秘めていることになります。多くの外来語をカタカナで飲みこみ運用し、漢語・唐語・呉語を取り込みながら音読み・訓読みを発展させていった日本語は、他の言語にはない含みのある「ことば」と言えます。

ことばが宇宙を作っているとすると、日本人は、日本人の言葉でこの世界を見ている。それならば、もっと深く、そのよさを味わってみようではありませんか。

 

 

このページで申し上げる言語芸術とは、人智学を提唱・実践したルドルフ・シュタイナー(1861~1925)の思想に基づく言語造形(言語の芸術活動)のことです。ドイツ語のSprachgestaltungを、言語造形と訳したところからこの語を使用しています。ことばの芸術、という方がわかりやすいかもしれません。

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